0 注意事項

内観しないほうが良いとき

人生全般の幸福度を上げるのに有効な「内観」ですが、おすすめできないときもあります。取り組む前に、まずはここに当てはまっていないか確かめてください。

 

 

まず、「①ショックな出来事の直後」について。

これは物事を受け止めることには、多大なエネルギーを要するからです。例えば、大切な人との別れの後や、誰かに物理的な危害を加えられたとき、強いショックを受けるような事柄などがあった時には、その消化に非常にエネルギーを要します。ですから、まずはそのショック状態が落ち着くまで、「内観」は避けてください。

 

次に「②時間的、精神的な余裕がないとき」について。

この時に避けたほうが良いのは、自分と向き合うことに集中力や労力をたくさん消費するからです。時間的精神的な余裕がないときに無理にやろうとすると、負荷がかかりすぎてしまうのです。このような場合は、満足に向き合えないことがほとんどですが、それでも無理にやろうとすると、自分を痛めつける方向に進んでしまいがちですので、避けてください。内観は、しっかりと時間が取れるとき、また、精神的に「大掃除をするか」というような気持ちになれたときに取り組むのがおすすめです。

 

続いて「③どうしても「自分の責任」だと思いたくないとき」について。

人間にはいろいろな学びの時期があります。時には、内観の前提である「自分が引き起こしている」という考えに立つと、自分が非常に傷ついてしまうというときもあるでしょう。そんな時に無理に内観をする必要はありません。何事も「自分と向き合えていればいい」「手放せていればいい」というわけではなく、あくまで「快適に生きる手段」として内観という選択肢があるだけです。

 

また、最後に「④現在の状況が変わると困るとき」。

適切に内観を行うと、自分の潜在意識が変わりますので、その影響によって現実世界も変わっていきます。内観を体験したばかりの人は、たいてい驚くのですが、例えば「母親に関するブロックを手放したら、翌日から見違えるように母親が穏やかになった」とか「『自分は役に立たなくてはいけない』というブロックを手放したら、ほどなくして自分に激務を押し付けてくる上司が異動になった」というようなことが本当に起こります。

それによって「自分の潜在意識が現実を作っているというのは本当なんだな」という深い実感にもつながるのですが、その一方で気を付けたいのは「本格的な内観を行うと、今の現実の状況は確実に変わっていく」ということ。

その変化は、職場や生活環境の変化、パートナーや親しかった人との別れ、趣味や嗜好の変化など多岐にわたります。その中には、自分が望まないものも含まれます(内観をしっかり行った大多数の方が「仲が良かった友達と疎遠になったり、トラブルが起きて離れる羽目になった」ということを体験しています)。

ですから、「今の自分の状況が少しでも変わったら困る」「状況が変わることに適応できる余裕はない」という時には、おすすめできません。あえて内観はせず「今はこの状態でいることを自分に許す時期にしよう」と決めるのもいいでしょう。

いずれにせよ、内観の目的は「自分を見つめることやブロックをなくすこと」そのものではなく、「自分が最終的に心地よくいられること」。

どうぞ優先順位を間違えずに、上手に利用していただければと思います。

 

副作用と好転反応

 

内観を行う前後には「好転反応」が起こる場合があります。好転反応とは「一時的な心身の不調」のことです。期間は人によって様々ですが、1~3日で収まることが多いようです。

本格的な内観に取り組む場合は、「直後に予定がない状態(ゆっくり休める環境)」を用意して行うようにしてください。

好転反応はワークを通して、それまで抑圧されていたエネルギー(イメージとしては、精神的な毒素や膿のようなものと思ってください)などが出てきたり、緊張が解けたことにより起こります。マッサージなどを受けた後の「もみ返し」のようなものです。

好転反応の例としては、だるい、体が重い、眠い、ぼんやりする、体に痛みが出る、フラフラする(酔っ払っているような感じ)イライラする、落ち込む、悲しくなる、涙が出る、過去の出来事が異様に気になる、周囲の音や匂いなどに過敏になる発熱、湿疹や蕁麻疹、などがみられることがあります。

基本的な対応についてですがまずは「具合の悪い自分や不調を、なるべく否定・批判・抑圧せずに受け入れる気持ちで過ごす」ということが大切です。

スタンスとしては「出るに任せて安静に過ごす」のが望ましいでしょう。また、なるべく水を飲んで、体の巡りをよくするのも有効です。眠たいときにはなるべく積極的に眠りましょう。好転反応が落ち着いた後は以前より身体感覚がすっきりとしていたり、以前よりも身軽に感じられる、という方も多いです。

なお、好転反応は必ず起こるものではありません。

また、「ブロックがしっかり外すためには、辛い思いをしなければいけない」というブロックを潜在的に持っている場合などは、必要以上に好転反応が起きたりすることもあります。ですから、楽に変わっていくということをご自分に許しながら、あまり反応を過剰に意識せずに過ごされるのがおすすめです。

 

誰かのブロックが気になるとき

 

内観の経験を重ねていくと、だんだん周囲の人たちのブロックが、感覚的にわかるようになっていきます。「この人はこのブロックがある、あの人は感情を抑圧している」ということがわかるようになると、つい、指摘したりアドバイスしたくなってしまうことがあるかもしれません。しかし、やみくもに人にアドバイスすることは控えてください。

理由としては、まず、「Aさん(あなたの身の回りの人)のブロックは、実はあなたのブロックである」ということです。

あなたからは「AさんのブロックはAさん自身の思念によってできている」ように見えるかもしれません。しかし、内観の前提にある考えは「この世界はあなたの潜在意識が作り上げている」ということ(詳細は第一章にて説明しています)。

したがって、誰かがブロックを持っているというのは、「自分がその人にブロックを持たせている状態」であると言えるのです。a

にもかかわらず、相手に介入して相手にブロックを外す行動をとらせようとすることは、内観の原則に反しています。本当に彼らのブロックを手放させるためにはあなた自身が第一に、「自分が『Aさんにそのブロックを持たせたのはなぜか』」という視点で内観するということが必要なのです。

他者の状況が気になったり介入したいというときほど、実は「自分が本当に向き合うべきことがある」ことが多いです。他者のことに気持ちが行くことで、自分のブロックからつい目をそらす…というのはブロックのスタンダードな抵抗の一つでもあります。ですから、「人のことが気になるときほど、自分に集中」という意識を持ちましょう。

なお、それでも他者に介入したいと感じた場合は、慎重に行いましょう。ブロックや抑圧された感情は、個人のセンシティブな部分に根付いており、相手に大きなダメージを与えてしまうことがあるためです。

ですから、アドバイスや介入を行う時には、相手が積極的に望んでいるのかを考慮した上で、「自分はこう思う」「私ならこう感じる」「こういう考え方はどうだろうか」という程度に留めるのが望ましいでしょう。

Posted by momokami